Shape of my word

日々の生活で感じたこと、思ったこと、考えたこと、を言葉にします

2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

週末の早朝、河川敷を走ると青いウインドブレーカーの初老の男性が向かい合う少し手前で右手を上げる。僕はそれを見て右手を上げる。たぶん深い意味はなく挨拶のようなものだと思っている。週末になると必ずその男性は向かい合う少し手前で右手を上げる。そ…

ふと考える。口は一つ、手は二つ。本当に大切な人に誠実にする為には、何かを切り捨てなければならない。時間は有限で、体は一つしかない。密に接するには、あまりに足りない。限りなく不自由で、儚い。想い出ばかりが美しく、今いる人をないがしろにしては…

自分は優しい人間ではないと思う。誠実な人間でもないと思う。でも優しさについて考え、誠実でありたいと思いながら行動する。ある作家が言った。幸福とは幸福を探す過程らしい。幸福が幸福を探す過程に存在するように。優しさや誠実さは、そうでありたいと…

淡い空の下で川面を陽がてらてら照らした。時間の流れに並行して川は海へと下る。月は満ち欠けを繰り返し、面積を失っては、取り戻す。蝶のまたたきが嵐を呼ぶ奇跡は信じてないけれど。時間の流れで失う重さと、手に入る軽さは実感する。空は今日も青くて、…

吐く息の白さ、身が縮むような寒さ、雲のない空に乾いた空気が漂う。山の積雪が陽で輝き一日が始まる。日が延びることに何かを期待し、幹に宿る花の息吹を心待ちにする。なにも身に付けない木を潔いと思う。自然には無駄がなく、そうありたいと思っても、そ…

心をどこかに置き忘れたようで、心臓が冷たく無機質に脈打つ。熱を持たない冷めた瞳で、なにかを見透かしたように笑う。空に浮かぶ満月のような俯瞰した、手に触れると消えてしまいそうで、そうやって記憶の底で深く眠る。想い出だけはいつだって美しい。

そうでありたかった未来より、そうはならなかった未来が不幸せだとは思わない。すべての出来事は偶然を装った必然のような気がする。見えない糸に手繰り寄せられるように、運命なんて信じていないけど。これは必要なことだったと。そう納得させながら道を歩…

漂う雲の少し上に、白い陽は大きく、柔らかく輝いた。海面はその陽をうけて一筋の道をつくり、海を照らした。人はただ海を見て、海は人を抱きしめているかのように静かで優しかった。海のその優しさは、癒しと共にどうしようもなく悲しい気持ちにさせる。ど…

雲に隠れたおぼろな月が、風の合間に白い輪郭を時折見せた。指の先が痺れるような寒さ、どこまでも乾いた空気。天気の良い日は、雲一つなく澄みきった空。寒暖の差で、暖かい湯を浴びると身体の内側が、痒くなるようでむずむずした。ゆっくり日が延びること…

宙に舞う雪がスノードームのように、ただ綺麗だった。瓦に積もった白い雪が、まるで違う土地に感じさせる。日が沈み外に出ると、雪は溶けていた。吐く息と雪の白さが冬を感じさせる。この季節の車両は暖かく、ボーッとしながら見る景色は、どこか淋しい。

風を感じて、雲を追いかける。澄みきった空になにかを期待して、乾いた空気に季節を感じる。ずっと探していたものが、そっと芽を出す。そんな淡い期待を胸に、地を駆ける。誰かと比べるでもなく、誰かを羨むでもなく。あくまで自分らしく。風を受けたら葉を…

ドーナッツを食べながら考えた。食べる前にはっきりと認識できる穴がある。そこに確かにあると認識できる穴という存在は食べ終わると穴という存在は消えることは無いはずなのに、最初からそこにあったのかどうかも分からなくなってしまう。愛や心、気持ちは…

言葉について。言葉には責任を持たなければならないと思う。自分の発した言葉を相手はどう受け止めるか。それは分からない。だからこそ考え、選ばなければならない。見えないものを想像して、経験から推察して。言葉に責任を持たなくても、自分の発した言葉…

​ どんなに苦しくても、またどんなに楽しくても。時間だけは過ぎていく。何のために生きているの。と聞かれれば、その先が見てみたい。そう答えるだろう。それは好奇心なんていう興味本位なものではなくて、純粋な望みです。先のことは分からない、だから時…

​ 風のまだ冷たい、ある晴れた朝の公園に、梅の花が咲いていた。朱の小さな蕾は控えめに、春を予感させる。花は季節をまたいで、また咲くのだ。人は花のように分かりやすくはない。形には見えないし、だからみんな不安で苦しい。いつ咲くとも分からない。だ…

月の裏を暴いたソ連のルナ3号。ルナはローマ神話で月の女神を指し、ルナティックは狂気を意味する。月は太古から狂気の象徴だった。新月、満月の夜に開花する月下美人。満月の夜に変身する狼男。潮の満ち引きは月の引力によるもので、こんなにも影響を受ける…

最近、思うのです。生きているうちに満足に解決できることなんてそんなにないんじゃないかな。一時間、一日、一ヶ月、一年、十年…。ただ無為に時間だけは過ぎていきます。それでも生きていきます。生きている限りは、一生懸命に生きていかなければと思うので…

影を落とした夕陽が悲しげで、夜を包み込む月がうっすらと微笑んでいるように見えた。永遠とかずっとはないことは大人になって分かっているはずなのに。あと何回、この道を歩くことがあるのだろう。感慨にふけった。それとも記憶の中で生き続ける限り、ダイ…

​ 地を這うような野ざらしの草に命を感じる。名前のない命なんてないのだから。あえて形容するでもなく、そこにあるだけでいいと思う。名も知らぬ草が根をはり、日に向ってまっすぐのびる。それだけでいいと思う。生き物の美しさは本能の定めで、だからこそ…

さざれ石のようにいくつも重なった雲がゆっくり流れる。地平線のふもとは空より淡い。雲の奥にある陽が見え隠れして、山の雪が輝く。街並みの木は余計なものを身に付けず、春に備え。土の中で息吹は、春の兆しを待つ。冬という季節の片隅で、みな深く眠る。

​ 夜が長いのは、朝が怖いからで。だけども昼過ぎに一日が終わると思うと、安心した。食べて、寝て、起きて働く。それをいつまでか繰り返す。どんなに進化しても人間は動物の範疇で、とびきり傲慢で利己的な生き物だと思う。猫の媚びず、素直な所は昔から好…

​ 花が好きで、散歩の目的は花を見ることもあった。ある夏の朝、炎天下の中で萎れた向日葵が、夕方に通り過ぎると背筋を伸ばし、誰かが水をやったのだろう。それに安心したのと同時に気持ちが救われた自分がいた。花の旬は短く、だからこそ愛おしく。切なく…

​ 人を傷つけるようなこともしたし、傷つけられることもあった。傷つかないように振る舞うこともあれば、傷ついても、それを態度に出さないように気を付けもした。感情的にならないように、ずいぶんと無理もしたが、やがてそれが自然体となって、いつでもな…

さよならと言えない別れの方が多かったが、小さいことでも、ありがとうと感謝の気持ちは、伝えはした。ありがとう、という言葉が日本語でもっとも美しい言葉だと教えてくれた人に、最期にありがとうと伝えると、なんだか悲しい気持ちになってしまった。別れ…

​ 一緒にいる時は当たり前だと思い、離ればなれになってから、もっと大切にしておけばよかった。好きだった。そう気付いて、その感情はいつも行き場をなくし、さまよいながら張力を失った風船のように、しぼんでいくのを切ないと思う反面、安心もした。

​ もうずいぶんと眠っていたので、繋がりのあった人は今どこで、なにをしてるのか皆目、分からず。向こうもそう思っているだろうか。気にかけてくれているかもと思うのは、ずいぶんと傲慢だと思う。元気でいてほしいと思うのは、それだけよくしてもらったか…

毎日、肉体の能力が向上するようなトレーニングは、欠かさず行った。体がどうやっても動かないと時にだけ休んだ。生産性のある人間ではないが、身体能力が上がるのは訓練によるものだとは、知っていて。能力が上がることは、成長だと思いながら取り組んでい…

​ ただただ無為に時間だけは過ぎていった。あの頃の僕は、化石のような時間を過ごしていた。誰に見られることもなく、誰に触れることもなく、心は地層の中で眠り、日の目を見ることもない孤独な時間を過ごした。光を探すという目的も意味を失うような、暗い…