Shape of my word

日々の生活で感じたこと、思ったこと、考えたこと、を言葉にします

 水に体を沈め、ゆっくり手をかき、足をたたき、歩くのとさほど変わらぬ速さで向こうの対岸をクロールで目指す。水は塩素と不純物で透明度は低く、耳は水面と付かず離れず、水をはじく音しか聴こえない。フェンスに手が触れるとターンして、壁を蹴り同じことを繰り返す。体が順応していない泳ぎはじめは時間の流れる遅さに気が取られるが、黙々と繰り返すうちに意識は限りなく無に近くなり、頭と体の感じる時間は等価性を失い加速する。やがて視界は狭まり、目に移るぼやけた点と点が結び付き、線となり。線と線が繋がり一つの形ある像となる。それは雨上がりの美しい虹のようだった。予定のワークアウトを終え、スロープの手すりを捕まりながらゆっくり水面から上がると水圧から解放され心地よい倦怠感に包まれる。泳ぐことに関して僕が語ること。